ONLY ONE NAME

2021/02/01 14:45

このコーナーは、Boojilが描いたネームアートをお贈りした方に、直接会いに行き

名前の由来やその人の背景をご紹介するインタビュー連載です。

今回は歌手の「松本野々歩(まつもと ののほ)」さんを訪ねました。

わたしの10年来の友人でもある、野々歩さん。

彼女の活動のひとつに「チリンとドロン」という音楽ユニットがある。
これまで赤ちゃんとこども、そしてそのお母さんとお父さんのための音楽会を全国各地で開催してきた。

世界を優しく包み込むような、やわらかい彼女の歌声は
こどもと一緒にいる時間を、一瞬にしてとても愛おしい時間に変えてくれる。
普段育児や仕事で忙しなく過ぎていく日々を丸くしてくれる、そんな声。

「の・の・ほ」彼女の名前を声に出すだけで、心が落ち着くような印象がある。
文字にしても、やわらかくて、角のない、優しい名前だと思う。

野々歩ってすごく珍しい名前だけれど、とてもかわいらしい音のつなぎ方。
これまで2000名以上の方の名前を描いてきたけれど、今まで一度も同じ名前に出逢ったことがないくらい
まさに「ONLY ONE NAME」だなと思う。

その印象的な名前について、ずっと由来を聞いてみたいと思っていた。

名付けをされた彼女のご両親は、
前回ご紹介した、ブログにご登場いただいた「松本雅隆、美和子さんご夫妻」。

どんなお話が聞けるのか、とても楽しみ。

「母が若い頃、奈良の大学に通っていたときに、文学にとても興味を持っていたそうで
担任の先生が万葉集を片手に、奈良の野道を歩きながら授業をしてくださったことがあったそうなの。

季節の移ろいを感じながら、文学に触れる課外授業の中で、母は山を歩くことがとても好きだった。

それから時は過ぎて、母は父に出会って、結婚をし、
わたしがお腹に宿ってから、名前を考えている時に

ふと、本棚にあった万葉集をみて、その時の思い出が蘇ったんだそう。

”あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや君が袖振る ”とゆう詩があるのだけど、
そこからヒントを得て、[野々行(ののゆき)]とゆう名前もいいかな?と思ったところから、

夫婦で話し合い、呼びやすさや、響きの良さを考え、最終的に「野々歩(ののほ)」に。
母音が全部「O」ってゆう言葉遊びも気に入って。
父が言うには、
野原を自由にのんびりと歩くようなイメージで、大きな心を持って欲しかった。
世の中が時代と共に、ギスギスしている印象があって、そんな中でも
ゆったり物事をみるような生き方をしてほしい。そう願って「野々歩」と名付けたんだそう。」

わたしはその話を聞いて、彼女が本当に名前の通りの人になっているなあと感じた。

野々歩はお話の通り、いい意味でゆっくり、のんびりした人で
誰を相手にしてもやさしく、穏やかに接することができる人だと思う。

それは大人に限らず、こどもにも、障害をもった方に対しても。そして、犬や、猫、動物に対しても。
野に咲くタンポポの、ふわふわの綿毛を、手で包み込むような優しい触れ方が出来る、そんな人だと思う。

彼女の歌声もまた、のびやかで、やさしい。
子守唄を聞いているような、安心感があるのも、こどもから大人にまで、愛されている理由なのだと思う。
名前の由来から、
「野」にはなだらかな野原の道と可愛らしいお花、その先々で出会う人を描いた。
「々」には、日々共に過ごしている人生のパートナーである、夫の田中馨くんに花束を持たせた。
「歩」には、バイオリンを弾く野々歩と、彼女が愛する家族である愛犬と愛猫を。最後に願い事が叶うよう星を描いた。

野々歩ちゃんのこれからの暮らしが名前のとおり、ゆったり、のんびり、おだやかな日々が続くことを願っている。
音楽と共に、豊かな時間を過ごせますように。
松本野々歩 プロフィール

歌手。

熊本県生まれ、東京都出身。ロバの音楽座のリーダー、松本雅隆を父に持ち、幼少期から音楽に触れ、こどもたちに向け創作活動をしている父の姿を見て育つ。初めて海外を旅をしたのは、2歳の時に両親と行ったインド。これまで旅した国は50カ国以上。音楽家、田中馨と、世界のわらべ歌と音楽を親子に届けるユニット「チリンとドロン」や、「あそび」を通して様々な表現を考える、ユニット「ロバート・バーロー」メンバーとしてライブ活動や、ワークショップなどを行う。

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