ONLY ONE NAME

2021/11/01 12:00

このコーナーは、Boojilが描いたネームアートをお贈りした方に、直接会いに行き
名前の由来やその人の背景をご紹介するインタビュー連載です。

今回は番外編として、我が家の次男「縁(えん)」のネームアートをご紹介させていただきます。

”縁” - えん という名前の由来は、
陽だまりのような暖かな名前がいいね。と夫と話していて、縁側は日当たりがよく、
「縁」という字には沢山良い意味を持っているのでこの名前にした。

人と人の縁を結び、ご縁に感謝できるような人になってほしい。
誰かの助けとして、縁の下の力持ちになれるように。
次男の人生が素晴らしいものになるよう、良縁に恵まれますように。

また、わたしは絵を描く仕事にしているので、額縁をよく使うことから、
絵の魅力を引き出す額縁のような、主役でなくても、なくてはならない力のある存在になれますように。

そんな想いを込めて名付けた次男。


また、英語でenは動詞や形容詞につなげることでその意味を強める効果もあるそうで
長男とのつながりも意識した。

長男の名前は「歓」、”よろこび”という意味があり、英語にすると「joy」
次男のenを繋げると、「enjoy」”楽しむ”という意味になるので兄弟仲良く過ごせることも願っている。

名前の由来から、描いたネームアートは、ご縁を結ぶ赤い糸と、それを縫い合わせるための道具として針、
成長する植物にのせて、自分でそのご縁を育めるようなデザインを糸へんに込めた。
色とりどりの絵の具、縁側、そして、ご縁が紡がれ今の形にたどり着いた、家族みんなのモチーフも取り込んだ。

次男が産まれたのは2019年の春。
ちょっとその時のことを振り返ってみようと思う。

長男の出産は、母の勧めで実家近くの横浜の総合病院でお願いした。
20時間以上ずっと陣痛が続き、初めての出産に怯え、無機質な病院での出産は不安との戦いだった。
赤ちゃんを取り上げてくれた先生やスタッフの顔も覚えていないくらい、現場に立っている人との関わりは
想像していたよりもドライで、とても寂しく感じてしまった。

”出産”という人生の大きな体験、そして命が生まれる時の感動は、特に女性にとっては一生忘れない思い出となるだろう。
だからこそ、二人目となる次男の出産は、もっと安心して臨みたいと思っていた。

助産院で出産をしたことのある友人が、石神井にある助産所「つむぎ助産所」を紹介してくれた。
助産所といっても、大きな場所ではなく、助産師さんの自宅を改装し、そのひと部屋をお産の部屋として使用しているような場所で
お産をする6畳の和室には、い草の良い香りが漂っていて、1組の布団が敷かれている。

妊娠中のわたしと、助産師さん。他には誰もいない。
赤ん坊が誕生するまでの間、わたしはたったひとりの助産師さんにこれから生まれてくるであろう赤ん坊の命と、自分の命を預けるのである。


初めての検診から出産直前までの助産師さんとのコミュニケーションは深く、
日常のことから、仕事のこと、こどもの話はもちろんのこと、夫の話まで、、、。
まるでもうひとり母親ができたような感覚になるほど、思いつくものは何でも話すことができた。

出産までの10ヶ月、心身とも不安なく安心して過ごすことができたのは助産師さんとのやりとりが
互いの愛情に包まれていたからだなと思う。

臨月を迎え、予定日まであと2週間という頃、お腹の中の赤ちゃんが出てくる前に
お月様のような大きなお腹の状態で、家族写真を残そうと、いつもONLY ONE NAMEのサイトでも写真を撮ってくれている
カメラマンの神ノ川智早ちゃんに撮影をお願いすることにした。

その日は晴天に恵まれ、撮影日和になった。

撮影を無事終え、昼食をとろうとした矢先、陣痛がやってきて
あれよあれよと痛みは激しくなり、そのまま車で助産所へ。
3時間後、夫と長男に見守られ無事次男は助産所で産まれた。
二人目だからか、スピード安産だった。

そうはいっても、陣痛はやはり死ぬほど痛いものだったけれど、するりと産まれてきれくれて本当によかった。
元気な男の子、ちょうど3000g。

無事産まれたことを、両親と、先ほど撮影をしてくれた智早ちゃんに連絡する。
「無事産まれたよー。。。!」

智早ちゃんは、すぐに飛んできてくれて「よくがんばったねえ、おめでとう」と涙ぐみながら声をかけてくれた。

わたしと赤ん坊をつなぐ、へその緒を夫と長男にハサミでカットしてもらい、写真を残してもらった。
こうして友達を気兼ねなく招くことができるのも助産所ならではの良さ。本当にありがたい。

さっきまでお腹の中にいた赤ん坊を産前産後を1日で写真に収めてもらえるなんて、とても運がよいというか
まるでタイミングを見計らって産まれてきたような気もする。
写真を撮ったあと、智早ちゃんは「またすぐ会おうね」といって帰って行った。

夜は横浜から母が訪ねてきてくれ、みんなで母が買ってきてくれたお弁当を小さなテーブルを囲んで食べた。
わたしはまだ身体に負担があるので、布団に寝たまま助産師さんが用意してくれた栄養満点の食事をとらせてもらった。

夫、長男、母、わたし、そして、生まれたばかりの赤ちゃん。

産後すぐに家族揃って、赤ちゃんを囲んで食事をとれるとは、何て幸せな時間だろう。
なんでもないこの風景をわたしは一生忘れずに生きていくんだと思う。

心身ともに安心できる、助産所の出産を心からお薦めしたい。

無事健康に生まれたことに感謝して
次男の人生が名前の通り、”縁”を紡いで豊かな人生を歩めますように、心から願うばかりだ。

文  :Boojil
写真 :神ノ川智早

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