2021/09/01 13:08
このコーナーは、Boojilが描いたネームアートをお贈りした方に、直接会いに行き
名前の由来やその人の背景をご紹介するインタビュー連載です。
今回は、 ” sunshine to you ! " のデザイナー「木原 佐知子 (キハラ サチコ)」さんを訪ねた。
佐知子という名前はご両親が名付けた名前だそうで、由来は「人の助けを知る子」になってほしい。という願いから。
わたしと彼女は10年来の友人で、知り合ってからというもの、
彼女からはいろんな知識を与えてもらっている。
好きな分野への探究心が強く、こどものような無垢な心をもっている彼女。
訪ねるたびに、わたしの知らない世界につながるドアを開いてくれる、そんな貴重な存在だ。
そんな彼女が主宰している "sunshine to you ! " は、デザインを中心としたオリジナルスタジオの名前。
「日常にある自然をたのしむこと」 をコンセプトに、2007年にスタートした。
あらゆる媒体のクライアントワークから、オリジナルプロダクトまで展開する。
"sunshine to you !"のオリジナルプロダクトは、お洋服からアクセサリー、インテリアなど幅広く
デザインのイメージは、自然からインスピレーションを受けたものが多く、”sunshine"という言葉の通り
使うものにとって、優しい陽の光のようなエッセンスを日常に与えてくれる。
2014年からは拠点を神奈川県の葉山へと移し、海と山が近くにある環境でものづくりをリスタートさせた。
もともと海遊びが大好きだった佐知子さんは、海のある町で暮らし始めたことにより、より自然に寄り添う暮らしにコミットすることになる。
葉山の海は、温暖な気候と地形に恵まれ、一年を通してシュノーケリングで様々な種類の魚を鑑賞することもできる。
東京から車で2時間弱、横浜からはたった1時間程度。
都市からちょっと足を伸ばしただけで、海も山も堪能できる場所。
そして何より葉山には音楽やアートの文化も根付いていて、感度の高い住民が多い。
センスの良いおしゃれなレストランやカフェも各地にあり、昔から別荘地としても人気のスポットだ。
そんな葉山の美しい海が一望できる場所に、彼女の拠点はある。
この場所に身を置いて7年が経った。
葉山に越すまでは、仕事に追われることが多かったけれど、今は日常に心の余裕が生まれたそう。
今までは自然を求めて遠出をしていたけれど、ここでは自然が溢れている。
あまりの心地よさから、都心に出かけることが少なくなり、仕事や買い物、
人付き合いまで、葉山の中ですべてが完結するようになったという。
息抜きに海沿いを夫婦で散歩をすること、夏が来るとシュノーケリングで海に潜る。
海を眺め、触れることが習慣になった。
散歩中に見つけた、砂浜に落ちている貝殻や、流れ着いた色の美しい小石、
海藻の造形に心を躍らせ、部屋のインテリアとして持ち帰る。
目にするもの、触れるものが自然からの産物に溢れ、心が浄化されていくと同時に、
佐知子さんはある違和感も感じるようになったという。
それは、葉山に身をおいてからの数年で、少しずつ海の環境が変わっていること。
「去年出会えたはずの生き物が今年はいない・・・」
海に浮かぶペットボトル等のゴミの数が増え続けていること、砂浜を歩けば、大量のプラスチック片が混入していることにも気づいた。
泳ぐ度に自然の美しさに感動し、その一方で人が作り出すものが海を汚し続けている現実に胸を痛めている。
「愛する海が汚れていく。このままでは、美しい海が死んでしまう。」
葉山に暮らしてからというもの、環境問題により意識が向き、佐知子さんは暮らしから見直すことにした。
「葉山に暮らし始めた頃、我が家の浄化槽から異臭がするトラブルがあって、水道業者さんに浄化槽の中を見せられて・・・
本当に汚かったの。
その時に浄化槽の仕組みを初めて理解して、その水が最終的に、わたしがいつも泳いでいる海水に流れ着くことを知って、心からショックを受けて。」
それ以降、洗濯には合成化学物質洗剤から段階を経て、竹炭洗剤に切り替えた。
100%自然由来のものだから、水を汚さない。
自然の恩恵を受けながら、わたしたちは暮らしている。
それは、自然に溢れた葉山だけの話ではなく、日本、世界にもつながっていること。
佐知子さんは自ら情報収集をし、環境汚染に繋がらないアイテムを日常に取り入れ、切り替えてからというもの
自然環境をいかに守っていくか、仕事においてもデザインする上で意識に変化があったそう。
また、今まで以上に環境保護に努めるため、サステナブルなデザインと活動を目指し、
佐知子さんは海に還元できるお店をこの夏、オープンした。
その名も「海のお店」
アトリエの1階を小さなSHOPに作り変え、環境保護につながる商品を購入できる場所にした。
なるべくプラスチック製品を出さずに済むように、空き瓶を持参して購入できる量り売りも導入している。
環境汚染は、日に日に深刻化している気候変動にもつながっていて、
わたしたちの日常の選択ひとつで、世界は大きく変わってしまう。
小さな積み重ねが、未来の地球を創っていく。
そんな「佐知子」さんに贈ったネームアート。
海で遊ぶ佐知子さんと、ご主人、そしてシュノーケリングで見ることのできるカラフルな魚たちを。
光り輝く太陽に、木々と花を描いた。
海と共にある暮らしがこれからも笑顔にあふれる日常になるよう願いを込めて。
「人の助けを知る子」その願いをもってつけたれた名前は、まさに今の活動にながっていると思う。
自ら自然環境の問題に向き合い、知識を蓄え、デザインを通じて活動することで、自然環境を守り、
最終的に人の助けになっている。
自然に寄り添う”sunshine to you !” のこれからの活動と、スタートしたばかりの”海のお店”が
葉山に暮らす彼女から届く優しいメッセージで、より多くの人に伝わりますように。
わたしも彼女を見習って、自分にできる小さな一歩から始めようと思う。
木原佐知子 / sachiko kihara
1980年埼玉生まれ。東京芸術大学デザイン科卒業。
永山祐子建築設計等、いくつかの設計事務所を経て、2007年よりsunshine to you!として活動を開始。
2014年から神奈川県の葉山へ拠点を移し、身近にある自然の中から感じたことをきっかけに、様々なプロダクトをデザインしている。
2021年7月22日、「海のお店」をアトリエ内にオープン。自然に寄り添う暮らしと、環境保護につながる活動を日々発信中。