2021/05/01 07:37


このコーナーは、Boojilが描いたネームアートをお贈りした方に、直接会いに行き
名前の由来やその人の背景をご紹介するインタビュー連載です。

今回はテキスタイル作家で、北欧の織物教室を主宰する「石川 愛 (イシカワ アイ)」さんを訪ねた。

わたしが絵を仕事にしたいと志し奮闘していた20歳の頃、初めて出来た作家の友人が彼女だった。

人の紹介で知り合った、愛ちゃんは ”udu (ウヅ)" という名前でテキスタイルブランドを主宰し、テキスタイル作家として独立したばかり。当時、わたしも彼女もアルバイトをしながら、作家活動を本職にしたいと夢と希望を胸に懸命生きていた。

彼女の作り出すものは、色合わせから、素材選びまで、とてもセンスがよく、のびやかで自由なこども心がある。

”udu (ウヅ)”というブランド名の由来は、自身の体験から生まれたものだ。
以前、知り合いのお子さんに「愛ちゃんの名前って、英語でどうかくの?」と聞かれ、 ”愛”を英訳した "LOVE=ラブ"と書くと
「うづ?」と返答があったことから”udu"と名付けたそう。

「愛」=「ラブ」その形が ”うづ”と読んだこどものルールや一つの形にとらわれない感覚は素晴らしい。
「いつまでもこども心を忘れない、自由な発想の物作り。」をコンセプトに始まったオリジナルブランド。
織物の作品を中心に、バッグや、ラグ、アクセサリー、インテリアまで展開する。


大学や専門学校を卒業したら、誰もが就職を勧められていた時代に、わたしたちは真逆の道を選んでいた。
わたしたちはすぐに意気投合し、一緒に展示をしたり、何かイベントがあると必ず互いを誘うような仲になっていった。

同じような感覚を持つ、同世代の仲間が見つかったことは、自分にとって何にも代えがたい財産で
彼女のことをわたしは親友であり、心友だと思っている。

好きな気持ちや感謝を友達に伝えることは、少し恥ずかしく、くすぐったいけれど、
彼女がいてくれたから、今の自分になれたんだと思っている。改めて出逢えたことに、ありがとうと伝えたい。
それくらい、彼女が私に与えた影響は大きい。

「愛(あい)」という名前の由来を聞くと、両親がつけてくれた名前だそうで
”誰からも愛される子、どんな人にも愛を持って関われる子になってほしい。”そんな想いで名付けられたのだそう。

わたしは彼女以上に、人に対して愛を持って接している人を知らない。
それが決して一方通行な愛ではなく、出会った瞬間から彼女のことを好きになってしまう人はきっと多いはず。

周囲を笑わせるようなチャーミングな一面も見せながら、
誰に対しても平等に、フランクに話しかけ、愛を持って丁寧な言葉と態度で接する姿は、
一緒に過ごしているだけで心地よく、いつだって誰もが自然体で居られる。

そんな空気を身にまとっている人は、とても貴重な存在だ。
彼女の周りには、自然と人が集い、みんなが笑顔になる。そんなパワーを持った、名前の通り”愛”に満ち溢れた人。

どうしてこんなにも”愛”に溢れているのか。その背景を知るために、彼女の幼少期について訪ねた。

愛ちゃんのお父様は、福島で馬のいる牧場をベースとした、青少年教育の現場を作る仕事をされていて、不登校のこどもたちや、障害をもったこどもたちに乗馬や馬のお世話を通して、新たなコミュニケーションの場をつくり、教育の場として運営してきたそう。

また、お母様はもともと幼稚園の先生で、夫婦で福島に移り住んでからは青少年教育の現場でこどもたちに食事の提供をされていたのだそう。

長女である愛ちゃんは、幼少期から牧場を通して、いろんな立場に置かれたこどもと共に育った。
お父様の仕事を手伝い、こどもたちと関わり、馬のお世話をしたことも多々あったそう。
育った環境から、誰に対しても甲乙つけずに、愛を持って接することができるようになったのだろう。

また、両親の影響もあり、こども教育に関心を持った彼女は、15歳の時、公立の高校に進学せず、東京の東久留米市にある私立「自由学園」に入学を希望し、寮生活をしながら学生時代を過ごした。

「真の自由人」を育てることを教育の中心とした自由学園は、この世に生きる一人一人が、「いのち」と「意志の自由」を与えられた、この世界にたった一人しかいないかけがえのない存在とし、いのちと自由を使って、どのように自分らしく、主体的に生きていくかを学ぶ学校とされている。

親元を離れ、学生生活を自由学園で過ごす事で、愛ちゃんは生きていく上で必要な知識と、技術を身につけた。
植物を愛でる事、食べたものが血となり身体を作る事、お気に入りのものは自分の手からでも作り出せる事。

学園では織物を専攻し、先生にデザインを褒められたことをきっかけに、織物の技術を高めるため、経験を積み重ねていった。

彼女と出逢ってから、15年以上が経った。学生時代からずっと変わらない、織物を仕事とする夢。
互いに自分の選んだ道で、少しずつ積み重ねていった作品作りや、発表をする機会から、時間と共に応援してくださる方が増え、手仕事が本職になり、結婚、出産を経て、変わらず良い友達付き合いが続いている。

できる仕事や家族の形は変わっても、内側は何一つ変わらない、最高の友達だ。

そんな彼女がこの春、新しく東京の東大和市に、アトリエ兼スタジオを構えた。
裏に緑豊かな山があり、多摩湖まで歩ける距離にスタジオがある。
散歩も楽しいこの土地で新たにスタートすることにした、その名も「湖畔スタジオ」。

織物の世界に触れ、実際に織り機をつかって物作りができる場所。
大小いろんなサイズの織り機がずらーっと並び、壁一面に並べられた、色とりどりに染色された糸たち、木の温もり溢れる紡ぎ車。技術のない人でも気軽に学ぶことのできる場。

織物を通して、技術を培っていく。
手仕事と、この場で出逢った人から、また新たなコミュニケーションが生まれるような「湖畔スタジオ」にしたいと語ってくれた。

門出を祝し、わたしは「愛」ちゃんのネームアートをプレゼントすることにした。




わたしから精一杯の愛情を込めて描いた「愛」は、彼女が染色した毛糸玉と、ここから始まる希望の光
紡いだ糸が、人と人とのご縁を繋ぐ役となるよう向き合う人を描き、花を添えた。
織物の作品を手に、その脇で支え、支えられる家族を彼女が好きな黄色の鳥に見立てた。

箱を開けた瞬間、予想外に涙を流し喜んでくれた彼女を見て、わたしももらい泣き・・・
そのあと「わははははは!」と、大きな声で笑い合い、純粋に心から嬉しい!とは、こういうことだな。と深く思った。

「喜んでもらえますように」願いを込めて描いた作品は、きちんと心が通っているのだと思う。

名前の通り、愛に溢れた人”愛ちゃん”
この記事を読んでくださった方、みなさんに彼女を紹介したいくらい、本当に大切な、大切な人。

愛ちゃん、湖畔スタジオオープン、心からおめでとう。
これからも”愛”に溢れた人生を送れますように。


<愛ちゃんから作品の感想をいただきました。>
作品を一目見た瞬間に「愛」という一文字に私への印象と私に対しての想いを丁寧に込めて描いてくれたことが伝わったと同時に、Boojilの絵描きとしての初期の作品から知っている私は、彼女の今の絵の輝きを目の当たりにして、今までのお互いの仕事への頑張りや積み重ねを走馬灯のように思い起こさせ込み上げてくるものがあり、自然と涙が溢れました。

人が丁寧に手をかけた贈り物には何ものにも変えられない大事な何かがあると信じて、私も日々ものづくりと向き合い、「つくるって楽しいよ」って伝えていくことをしていきたいです。


● プロフィール イシカワ アイ 
udu designer & テキスタイル作家(手織り/染色/フェルト)

北欧の織物教室「湖畔スタジオ」主宰
自由学園最高学部染織非常勤講師

・1983年 福島の相馬ポニー牧場に生まれ育つ
・2004年 自由学園卒業
・2004年より東京テキスタイル研究所に所属
 織りを大滝恵子氏、染色・フェルトを若井麗華氏に師事
・2006年 テキスタイルブランド[udu]をスタート

西東京のアトリエ「紙と糸」でスタートした織物教室での講師を経て、2021年春より自身の北欧テキスタイル教室「湖畔スタジオ」をオープン。講師だけでなく、作家としても精力的に活動中。羊毛を使用した織り機を使用した作品作りから、染色、フェルト制作まで、手仕事を中心とした作品作りを展開している。その他、全国、海外での展示、ライブでのデコレーション、CDジャケット等のアートワーク、グッズ制作、歌い手の衣装製作などを中心に活動するほか、子どもや保護者、また、幼稚園や保育園の先生を対象に、織物や羊毛フェルト造形、ニードルワークのワークショップを行うなど、多方面で活躍中。


●織物教室を開いている「湖畔スタジオ」の詳細はこちらまで⇩

●イベントのお知らせ
2021年5月16日、石神井氷川神社で開催の「井のいち」でudu textilの出店があります。
織物のワークショップや織物キット、オリジナルグッズの販売を予定しています。


文:Boojil